【クイックレマ】純正ホルダーで使用できるLeverPresso用フィルターバスケット(非加圧編)
X(Twitter)で、クイックレマ(EX5101JP)で使用できるLeverPresso用フィルターバスケットについて投稿しています。詳細をこちらのブログでご紹介したいと思いますが、少々長編になりそうなので(笑)、非加圧バスケット編と加圧バスケット編の2回に分けて掲載させていただきます。
まず最初は「非加圧編」です。
写真左は、以前当ブログでもご紹介したIMS版の51mm非加圧バスケット(LeverPressoオプション品:H26タイプ)、右が今回新たに購入して検証したLeverPresso標準の51mm非加圧バスケットです。どちらも粉量16g程度のダブルサイズで高さ26㎝、クイックレマの純正ホルダーでギリギリ使用できる大きさです(※使用時にバスケットとホルダーが干渉する可能性がある点はご了承くださいませ)。
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IMS版はイタリア製で鏡面仕上げされています。標準バスケットは中国製で鏡面仕上げ無し |
具体的にどう違うのか。まずIMS版は酸味が立ちやすく、味の輪郭がはっきり出る傾向があります。流出速度が標準バスケットよりも若干早く、いわゆる抜けがいいとも言えるのですが、クイックレマは圧力や流速を細かく調整することができないエスプレッソマシンなので、うまく調整できていないと酸味が強くえぐい印象(ソルティやサワー)になってしまいます。
そこで粒度をさらに細かくして調整しようとすると、よく詰まってE1やE3エラーが出て停止します。非加圧のダブルバスケットを使用する場合、私の環境では2~2.5g/sくらいの流出速度が低速側の限界で、それ以下を試みると停止することが多いです(※コンセント電源使用時)。
速度を少しでも遅くするために、IMSバスケットの場合は厚めのパックスクリーン(ex1.7mm厚)を使用して、流入するお湯の速度を抑えるイメージで運用しています。あと豆にもよりますが、グラインダーは酸味が立ちにくいもののほうが相性がいい気がします。
一方、標準バスケットは、IMS版と比較すると味がややマイルドに出ます。流出速度がやや遅めのせいかもしれませんが、味がまとまりやすい印象です。通常の使用であればこちらで全然「あり」だと思います。挽き目はIMS版とほぼ同じなので、少しメリハリやパンチを効かせたいときにIMS版を使用するような使い分けの運用でもいいと思います。パックスクリーンは味の出方に応じて、0.8mm厚を使用する時もあれば、1.7mm厚を使うこともあります。
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厚さ0.8mm(左)と1.7mm(右)のパックスクリーン |
標準バスケットで気を付ける点は、IMS版よりやや直径が小さめな点です。側面が少し斜めになっているため、例えばクイックレマの純正タンパーの場合、その厚み分程度しか中に入りません。51mmのタンパーやディストリビューターでもサイズきっちりだと中で引っ掛かってしまう可能性があります。
なので、標準バスケットでは粉量を多めに入れて引っ掛からない位置で使用するとか、選ぶ際に実寸が51mmより気持ち小さいものを探す必要があります。
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左がIMS、右が標準バスケット |
その他、クイックレマの純正ホルダーで使用できる非加圧バスケットにはシングルサイズもあります。こちらはAmazonでも購入できる51mmサイズの汎用品ですが、粉量が10g程度と容量が少なく、抽出速度がさらに速くなってしまうので、味がサワーで未抽出な印象になりやすいです。ミルク等と混ぜて使用するとか、多めのお湯で抽出する薄めのポッドカプセルコーヒー的な用途には使えるかもしれませんが、エスプレッソ単独用としてはおすすめできません。
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汎用の51mmシングルバスケット |
なお一般的には、エスプレッソの適切な抽出は粉量16gで32gの抽出(レシオ1:2)、時間は20~30秒といわれていますが、仮にクイックレマで速度2.5g/s、粉量16g、32gを抽出した場合、単純計算で12.8秒程度で抽出が終わってしまいます。これだと全然速すぎます。非加圧バスケットを普通に使った場合、クイックレマは適切なエスプレッソが抽出できないマシンだといえます。
対策ですが、個人的には「ブルーミング(蒸らし)」が必須だと考えています。これにより抽出が早すぎて成分が未抽出になることをカバーします。例えば開始5秒で一時停止して、のち20秒ほどブルーミングした後に抽出を再開、40秒前後で完了するイメージです。
追記)「開始5秒」としたのは、ブルーミング中にバスケットからコーヒー液が数滴落ちるか落ちないかくらいの量を想定したことが理由です。バスケットの大きさや粉量に応じて適宜調整されてください。
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LeverPresso用標準バスケットを使った抽出例 (開始5秒で一時停止、のち20秒ほどブルーミングして再開しています) |
レシオは通常は1:2、浅煎りでは1:1.5くらいにしたり、逆に1:4くらいまで薄めてもいいかなと思います。⇒浅煎り抽出のYouTube動画をアップしていますので併せてご参考ください。
あとは豆に応じてグラインダーの種類を変えたり、バスケットの種類を選んだり、パックスクリーンの厚みを変えたり、設定温度を変えたりして味を調整します。特にグラインダーの性能で味の方向性は大きく変わりますので、非加圧バスケットの場合は、できるだけ性能の良いエスプレッソ用グラインダーの使用をおすすめします。
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筆者使用のエスプレッソ用グラインダー(左:エペイオス EssenceGOLDと右:1Zpresso J-Ultra) |
ブルーミングする前提なので、いろいろと調整できる本格的なエスプレッソマシンと比べると味の出方は異なるかもしれませんが、こうした対策をすることでなんとか美味しいと思えるエスプレッソが、この家庭用マシンでも落とせるようになったかなと思っています。
あとバスケットの購入に関しては、以前はAmazonをおすすめしていたのですが、昨年の年末ごろから販売価格が爆上がりしてしまい、特にIMS版は1万円に近い価格帯になってしまいました。。せっかくいい商品なのですが、価格とのバランスを考えると、正直おすすめしづらい状況となっています。
いま一番お勧めできるのは、楽天かMakuake Storeでの標準バスケットの購入です。LeverPressoのHUGH社は海外の会社ですが、日本ではフルークフォレストさんが代理店をされていて本体と一部パーツの販売をしてくれています。
IMS版バスケットの場合、代替は個人輸入しかありません。公式サイトだと商品代金にプラス送料が25ドルくらいかかりますので、Amazonほどではありませんが結構割高になります。他の商品とまとめて購入するケースなら個人輸入もおすすめです。
以上、クイックレマで非加圧バスケットを使用する方法について解説しました。次回は純正バスケットを含めた「加圧バスケット」について解説したいと思っています。
それではまたー!!
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